ASMRを聴いて、リラックス感や気分の落ち着きを感じる人がいます。一部の研究では心拍数などの変化も報告されています。ただし、病気の予防・治療効果が確立しているわけではありません。研究で観察された反応と、まだ分かっていないことを分けて見ていきます。
目次
ASMRを聴くとどんな感覚や身体の変化がある?
リラックスしたと感じる人がいる
Poerioらの2018年の研究では、ASMRを経験する参加者が、動画の視聴後に落ち着きなどの感情の変化を報告しました。感じ方には個人差があり、誰もが心地よく感じるわけではありません。
心拍数などの変化を調べた研究もある
同じ論文の実験室での研究では、ASMRを経験する参加者に、心拍数の低下と皮膚の電気の通りやすさの上昇が報告されました。後者は発汗に関係する身体反応の指標です。
これは短い動画を見ている間の反応を調べた結果です。長期的な健康改善を測ったものではなく、心拍数の低下から血行促進や免疫力の向上を導くことはできません。
出典:Poerioら(2018)、PLOS ONE。参加者のASMR経験は自己申告であり、結果を全員に当てはめることもできません。
病気の予防・治療効果は確立していない
ASMRの健康への影響は、まだ研究段階です。ここで紹介した研究は、うつ病や不安障害の治療、うつ病を含む病気の予防、免疫力の向上を証明するものではありません。
「気分が落ち着いた」という感覚と、病気が改善したという医学的な判断は別です。ASMRは好みに合う音や映像を楽しむものとして捉え、治療の代わりにしないでください。
ASMRと睡眠の関係
就寝前のリラックスに利用する人もいる
BarrattとDavisの2015年の調査では、ASMRを経験すると答えた475人に利用習慣などを尋ねています。リラックスや眠るために利用する、就寝前に視聴するという回答がありました。
これは利用者の自己申告による調査です。ASMRで睡眠が改善する、不眠症が治ると証明した試験ではありません。出典:Barratt・Davis(2015)、PeerJ。
眠れるかどうかには個人差がある
就寝前に聴いて落ち着く人がいても、必ず眠れるとは限りません。音が気になる場合や、動画を探し続けて就寝が遅くなる場合は、再生を切り上げましょう。
気分の落ち込み、不安、眠れない状態が続くときは、医療機関などに相談してください。睡眠障害や心の不調への診療を、ASMRで置き換えないことが大切です。
ASMRを聴くときは音量と時間に気をつける
WHOは、音の大きさと聴く時間・頻度が聴力へのリスクに関係すると説明しています。ASMRも音声なので、音量を上げすぎたり、長時間聴き続けたりしないようにしましょう。
- 静かな場所で、小さめの音量から聴く。
- 連続して聴き続けず、休憩を取る。
- 就寝前は自動再生を止め、終了タイマーを使う。
- 不快な音や耳の痛みがあれば、無理に聴き続けない。
耳鳴りや聞こえにくさがある場合は、耳鼻科などに相談してください。出典:WHO:Safe listening。
寝落ちやつけっぱなしについては、イヤホンでASMRを長時間聴くときの注意点で詳しく説明しています。装着感が気になる場合は、イヤホンの種類と選び方で形ごとの違いを確認できます。